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神戸地方裁判所 昭和52年(行ウ)12号 判決 1978年5月12日

原告 伊藤清一

被告 兵庫県知事

訴訟代理人 宇田川秀信 浅田安治 ほか五名

主文

本件訴えを却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事  実 <省略>

理由

一  請求原因第1、3項は当事者間に争いがない。

二  原告が本訴において取消を求める被告の本件決定、すなわち被告が原告に対し昭和五二年三月二日計画第六八〇号をもつて通知した意見書不採択の決定(なお、<証拠省略>によれば、本件決定は、原告が提出した三通の意見書のうち昭和五一年一二月二三日付の意見書に対するものであつて、原告主張の別紙記載の意見書、すなわち、同月二五日付の意見書に対するものでない。また、意見書の内容も原告の主張する意見と必ずしも一致しない。)は、取消訴訟で争うことは許されないというべきである。けだし、土地区画整理法二〇条二項に規定する利害関係者の意見書提出は、土地区画整理組合または右組合を設立しようとする者が定めた事業計画やその変更について、利害関係者に書面で意見を申し出る機会を与え知事(または指定都市の長)の監督権の発動を促す途を開いたものであつて、利害関係者の提出した意見書にかかる意見を採択しない旨の同条三項に規定する知事(または指定都市の長)の決定(本件決定)は、利害関係者の法的地位になんら影響を及ぼすものでないので、行政事件訴訟法三条二項にいう「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」にあたらないし、また、利害関係者の意見書の提出が同条三項にいう「審査請求、異議申立て、その他の不服申立て」にあたらないので、知事(または指定都市の長)の右決定は同項にいう「裁決」にもあたらないからである(最判昭和五二年一二月二三日判決参照)。

三  よつて、本件訴えは不適法であるから却下することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 阪井いく朗 大和陽一郎 上原理子)

国鉄宝殿駅北土地区画整理事業にかかる異議申立<省略>

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